10.
建物の群れを眼下に見下ろし、巨大な竜と鬼魂号が対峙する。 叫ぶ竜。 その奥で、微動だにせぬ我らの鬼魂号。 竜が口をあけて舌を出しながら食らいつくのを、鬼魂号が正面から受け止めた。 鬼魂号が震えながら腕を広げ始める。 人々が、驚きの表情でその光景を見た。
佳々子は、歯を食いしばりながら両手を広げる。
恐ろしい音。 そして竜の口が開ききった。 佳々子の声が、人々の耳を震わせる。
人々は、瞠目して思い出す。
そう、それは子供のときに聞いたおとぎばなし。
闇と戦う、善なる力、光をもたらす戦士の伝説。
|